相手関係レーティング 第1版の評価

OpenSkill(Plackett-Luce)/モデル v1.0-pl/検証期間 2024-01-01 〜 2026-08-31(実データは 2026-08-23 まで)/集計 2026-09-27

採否判定: 採用しない

検証期間 8,216 レース (113,779 出走)で、勝ち馬の多項対数損失は レーティング 2.47528 に対し F2 単体 2.27822。差は +0.19706(95% 区間 [+0.18463, +0.21002])で、F2 単体のほうが良い。ECE も 0.00703 対 0.00132 で劣る。 事前に決めた基準(調査報告書 §8-6)の第1条件に該当するため「採用しない」と判定した。

このページは事前登録した評価を検証期間で1回だけ実行した結果である。結果を見たあとで パラメータ・評価方法・採否基準は変更していない。判定が「採用しない」のため、 レース別ページは作っていない。

1. 標本

対象は平地で、出走馬の過半数が過去走1以上、かつ勝ち馬が1頭に決まるレース。 障害は計算にも評価にも入れていない。

年レース出走オッズ完備率一括 PL の被覆率
20243,05241,86192.6%75.3%
20253,06242,60593.4%38.1%
20262,10229,31393.3%20.5%
合計8,216113,77993.1%—

含まれる月: 1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11・12(10〜12 月を含む全期間の再パース版)。 競走中止 446 頭(うち確定着順が3着以内になっている矛盾 3 件)、同着 395 頭。

2. 確率への変換と較正

勝率は p_i = exp(μ_i/T) / Σ exp(μ_j/T)。温度 T = 27.0703 は調整期間(2021-01-01 〜 2023-12-31)で確定した値で、 検証期間では動かしていない(検証データで再当てはめしても同じ値: 一致)。F2 も公平のため同じ形の 条件付きロジット(係数 1 つ、θ = 4.1291)で確率に変換した。 3着内確率は Harville(λ=τ=1)と、既存 src/trifecta の補正 Harville(λ=0.605、τ=0.5)の両方で出した。

勝率(レーティング)
0.000.000.050.050.100.100.150.150.200.20予測確率実績
勝率(F2 単体)
0.000.000.060.060.130.130.190.190.260.26予測確率実績
3着内(レーティング、Harville)
0.000.000.250.250.500.500.750.751.001.00予測確率実績
3着内(レーティング、補正 Harville)
0.000.000.250.250.500.500.750.751.001.00予測確率実績
予測ECE較正の傾き傾きの標準誤差切片
勝率・レーティング0.007030.92540.0177-0.1789
勝率・F2 単体0.001321.01250.0140+0.0278
3着内・レーティング(Harville)0.019730.96910.0113-0.0350
3着内・レーティング(補正 Harville)0.029971.28800.0147+0.3481
3着内・F2 単体(Harville)0.011600.89540.0080-0.1106

勝率の較正の傾きは 0.9254 で、事前に決めた帯 [0.8, 1.2] に入る(§8-6 の第2条件)。

3. F2 単体との比較(主指標)

指標レーティングF2 単体差
多項対数損失(勝ち馬、レース単位)2.475282.27822+0.19706
二値対数損失(3着内)0.484150.45595+0.02821
ECE(勝率)0.007030.00132+0.00571
レース内 Spearman(予測順と着順)0.38590.4309-0.0450
k=3 カバレッジ(勝ち馬が上位3予測に入る率)41.9%51.1%-9.18pt

主指標の差(レーティング − F2)は +0.19706、開催日単位の ブロックブートストラップ(2,000 回、seed 0、285 開催日)による 95% 区間は [+0.18463, +0.21002]。 区間は 0 をまたがないので、差は偶然では説明しにくい。 参考として、レーティングを使わない一律予測の対数損失は 2.60289 で、レーティングはこれより良い (=相手関係に情報はあるが、F2 のほうがさらに良い)。

F2 への上積み

条件付きロジットで F2 のみ(2.27816)と F2+レーティング(2.27635)を比べると、 対数損失は +0.00182 改善し、レーティングの係数は +0.1110(z = 5.56、 尤度比検定 p = 4.69e-8)。 統計的には 0 でないが、改善幅は F2 との差(+0.19706)の 数十分の一にとどまる。

4. 市場との乖離

群は事前に固定した定義。G1 = 1番人気かつレーティングのレース内順位が4位以下、 G2 = G1 のうちスピード指数(F3 の生値)の順位も4位以下、対照群 = 1番人気かつ レーティングの順位が3位以内。市場の暗黙確率は確定単勝オッズから (1/odds) / Σ(1/odds) で控除率を除き、3着内は Harville で求めた。 Harville 自体が1番人気の3着内率を系統的にずらすため、主指標は G1 の超過から対照群の超過を引いた差の差とした。

群頭数観測 3着内率暗黙 3着内率超過z95% 区間
G13,5130.60890.7149-0.1060-14.52[-0.1214, -0.0900]
G22,4240.60020.7070-0.1067-12.03[-0.1248, -0.0876]
対照群4,1360.69200.7620-0.0701-11.11[-0.0822, -0.0574]
G1 − 対照群(差の差・主指標)-0.0360[-0.0561, -0.0152]
G2 − 対照群(差の差)-0.0367[-0.0595, -0.0134]

オッズ完備レースは 7,649 / 8,216(93.1%)。 1番人気のうち G1 が 3,513 頭、G2 が 2,424 頭、 対照群が 4,136 頭。 G1 の超過は -0.1060、対照群も -0.0701 と どちらもマイナスだが、差の差 -0.0360(95% 区間 [-0.0561, -0.0152])は 0 を含まず、レーティングが低い1番人気は、そうでない1番人気よりさらに市場の見込みを下回っていた。 補正 Harville でも差の差は -0.0347([-0.0548, -0.0139])で向きは変わらない。

確定オッズは締め切り後の値。画面で使う発走前時点のオッズとはずれる(§8-3 の注意)

5. 市場を統制したときの係数と答え合わせ

レーティングは検証標本で標準化(z 得点)して入れている。市場の統制変数は、勝ち馬の 条件付きロジットでは log(暗黙の勝率)、3着内のロジスティックでは logit(暗黙の3着内確率)。 3着内のロジスティックの標準誤差はレースをクラスターとした頑健標準誤差。 感度分析は log(暗黙の勝率) を節点4つの制限付き3次スプラインに置き換えたもの。

レーティングの作り方レース条件付き
ロジット
3着内
ロジット
順位
ロジット
Spearman
残差
スプライン
(感度)
OpenSkill7,649-0.0822(-3.98)+0.0478(7.28)+0.0721(6.12)-0.1650-0.0843(-4.08)
Elo7,649-0.0736(-3.43)+0.0408(6.42)+0.0668(5.55)-0.1902-0.0759(-3.53)
一括 PL2,589-0.0700(-2.31)+0.0370(2.63)+0.0311(1.93)+0.0142-0.0712(-2.34)

β は標準化したレーティングの係数、括弧内は z 値。OpenSkill = OpenSkill(μ、第1版の本体)/Elo = 多人数 Elo(答え合わせ)/一括 PL = 一括 Plackett-Luce(choix、調整期間末の1時点)。

符号の一致

推定量OpenSkillElo一括 PL
条件付きロジット(勝ち馬)−−−
二値ロジスティック(3着内)+++
順位ロジット(上位3着)+++
Spearman(着順−人気の残差)−−+
感度分析(スプライン)−−−
G1 の超過(符号を反転して比較)+

+は「レーティングに市場を超える情報がある」向き。3着内・順位ロジット・G1 の超過は+で そろったが、勝ち馬の条件付きロジット(と、その感度分析)と Spearman 残差は−になり、符号は一致しなかった。§8-5 の約束どおり「効果がある」とは主張しない。 市場を統制しない素の関係では、条件付きロジットの係数も Spearman も+(レーティングは 着順と正の関係)であり、この符号の反転は市場を統制したあとに現れるものである。

一括 Plackett-Luce は調整期間末(2023-12-31)の1時点でしか 推定していないため、2024 年以降にデビューした馬に値が無い。そこで被覆率 80% 以上の レース(2,815 レース)に絞り、 欠けをレース内中央値で埋めたうえで推定した(実際に使えたのは 2,589 レース)。一括 PL は調整期間末の1時点推定のため、2024 年以降にデビューした馬に値が無い

6. 採否判定(§8-6)

事前に決めた条件該当判定
多項対数損失が F2 単体より悪い、または ECE が F2 単体より悪い該当採用しない
較正の傾きが [0.8, 1.2] に入らない非該当確率を表示してよい
対数損失の改善の 95% 区間が 0 をまたぐ非該当差は有意
§8-5 で符号が一致しない該当参考情報としてのみ表示(的中・外れを示唆しない)
G1・G2 で超過がマイナス、かつ符号が一致非該当この文言は添えない

7. パラメータと再現情報

項目値
model_versionv1.0-pl
marginModerank-time
distanceNormsec
marginCapSec3
secPerLength0.1728462997
beta2.083333333
sigma016.66666667
mu025
tau0.08333333333
marginThreshold0.1
temperature27.07033763

調整期間(2021-01-01 〜 2023-12-31、9,191 レース)で 63 通りを試し、 多項対数損失が最小の組み合わせを選んだ。1 馬身 = 0.1728 秒(n = 60,988)。 一律予測の対数損失は 2.60458。

調整期間の上位・下位の試行

#着差の扱い距離の正規化上限(秒)βσ₀温度 T対数損失
33rank-timesec32.083316.666727.07032.45680
30rank-timesec34.166716.666727.11302.45999
31rank-timesec32.08338.333313.56412.46003
24rank-timesec22.083316.666725.99762.46247
60rank-timeper1000m32.083316.666725.86512.46348
44rank-timeper1000m1.58.33334.16674.57032.51761
17rank-timesec1.58.33334.16674.69192.51878
8rank-onlysec28.33334.16673.67232.52981

リーク検査

打ち切り検査(6 点)と同日検査(823 日、356,334 出走)の不一致は0 件。 判定: 合格。

打ち切り日比較した行不一致
2020-07-0170,3030
2021-11-15134,0150
2023-04-01197,7740
2024-08-20262,6070
2025-10-05314,0250
2026-02-20331,4960

8. このページの読み方の注意

  • 確定単勝オッズは締め切り後の値である。画面で使うのは発走前の時点のオッズなので、 市場との比較にはそのぶんのずれがある。
  • 市場との比較はオッズ完備レース(93.1%)に限る。 競走中止した馬はオッズが欠けることが多く、そのレースが落ちる偏りがある。
  • 3着内の判定は確定着順(降着は確定着順、同着は同順位)。競走中止のフラグは レーティングの更新可否だけに使い、着順の判定には使っていない。
  • 一括 Plackett-Luce の被覆率は年を追って下がる(2024 75%・2025 38%・2026 21%)。答え合わせの3番目の推定量は、この制約のもとでの結果である。
生成: 2026-09-27T04:03:40.896534+00:00 / ブートストラップ 2,000 回・seed 0 / 数値の正本は output/rating/eval-validate.json。 このページは静的書き出し(output: "export")で、 サーバー側のプロセスを持たない。